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「津居山かに」
何がそんなにすごいのか? B恵まれた漁場
※画像をクリックすると大きな画像を見る事ができます

「津居山かに」の正式な分類である「クモガニ科・ズワイガニ」は、
水深200〜500mの海域に生息しており、北半球の様々な場所で水揚げされます。

小学校の社会科の授業を思い出していただきたいのですが、
「大陸棚」というのが出てきましたね?
大陸棚は海岸から水深200mまでの比較的浅い海底で、
ここから先は急激に深度を増していきます。
ズワイガニが生息している海域は、丁度この大陸棚の縁にあたる部分で、
そのためズワイガニの漁場も、海洋のど真ん中ではなく、
大半が沿岸部に集中しています。

輸入物ズワイガニの主な産地としては、
@北極海のアラスカ沿岸
A北大西洋のカナダ沿岸〜グリーンランドの西海岸
Bベーリング海沿岸
Cオホーツク海沿岸 などがあります。

これらの産地で漁獲されたズワイガニの多くは、冷凍されて流通します。

なぜか?

理由は簡単、「冷凍しないと鮮度が保てない」からです。
中には、外国船が国内の港に生のまま水揚げし流通するものもありますが、
地物のカニに比べると「鮮度」・「選別の厳格さ」では数段劣り、
品質も遠く及びません。

では、日本近海の漁場はどうか?
@日本海の沿岸部
A日本海中央部の大和碓(やまとたい)
B三陸沖の太平洋沿岸 
おおよそこれら3箇所に分けられます。

「津居山かに」の漁場は、@日本海の沿岸部にあたり、
具体的には京都府丹後半島の沖合い、約30kmの位置になります。
ちょうど大陸棚の縁にあたる部分で、多くの場合は急激に深度を増す部分ですが丹後半島沖は、水深200〜300mに渡って緩やかに深度を増していき、
カニの生息に非常に適した地形となっています♪

Aの大和碓(やまとたい)も、日本海では有数のカニ漁場ですが、
ページ下の画像をご覧いただいても分かるように、日本海のど真ん中。
上には「…大半が沿岸部に集中しています。」と書きましたが…(?_?)

大和碓は、正式には「大和海嶺」と呼ばれる海底が隆起した部分で、
ほぼ九州と同じ広さを持っています。
一番浅い部分は水深236m、水深500mより浅い部分の面積は、
沖縄県よりやや広い3000平方kmほどもあります。
この大和碓から隠岐諸島へかけても海底の隆起した部分があり、
対馬海流とリマン海流がぶつかり合う「潮境(しおざかい)」でもあることから、
カニを始めとする各種水産資源の好漁場となっているのです。

大型の底引き網船が、こぞってこの海域に出漁するのも、
大量の水揚げが期待できるためですが、そこには大きな問題もあります。
日本海の中央部ということは、当然港からも遠く離れている事になるのです。
漁は漁獲して終わりではなく、港に水揚げして初めて成立します。
大和碓のように遠く離れた漁場では、港に日帰りすることは困難で、
帰港するまでの間も、カニの鮮度はどんどん落ちていく事になります(*_*;

高鮮度で水揚げしようとすれば、港から近い沿岸部での操業が条件となりますがここにもまた非常に深刻な問題があります。

すなわち、乱獲による漁獲量の激減です…。
1960年代をピークにズワイガニの漁獲量は減少を続け、1980年代には最盛期の1/10近くまで落ち込みました。
地ガニの価格が急騰し、その穴埋めに輸入カニが広く流通するようになったのもちょうどこの時期に当たります…。
漁獲量が減少した原因としては、
・漁獲技術の発達により、漁獲量がカニの繁殖ペースを上回ってしまった。
・解禁時期以外に網に掛かったカニは、取り決めにより海に戻されたものの
 水揚げ時のダメージから、結果として死んでしまった。
以上のようなものがあります。

この様な状況下で、「津居山かに」や「間人(たいざ)かに」の漁場である
丹後半島沖の海域では、従来の「漁期・漁獲量・漁獲サイズ」の規制に加えて、
【1】海底に大型のコンクリートブロックを沈め、カニの繁殖を助けると共に、
   その海域では底引き網漁の操業を半永久的に禁止する。
【2】カニの生息海域では、解禁時期以外の操業を禁止する。
   (海に戻されても結果として死亡するカニが多いため)
これらの保護策を導入しました。
漁業者の皆さんにとっては、死活問題ともいえる非常に厳しい制限ですが、
これが功を奏し、1990年代からは漁獲量も徐々に回復を見せています。
その他の沿岸部でのズワイガニ漁が依然として低迷を続ける中で、
丹後半島沖の海域では、積極的な資源保護の取り組みから、
安定した漁獲量が維持されている訳ですね♪


さて、津居山かにの漁場について書かせていただきましたが、
文中にも書きましたように、「津居山かに」と「間人(たいざ)かに」の漁場は
共に同じ丹後半島沖。厳密には西側で津居山。東側は間人港の船が操業します。

ほとんど同じ海域で操業しているとはいえ、下の図にもありますように、
距離的には間人港が圧倒的に近いです(^_^;)
そんな訳で、鮮度に関しては「間人かに」には勝てません(^^;)
しかし「津居山かに」にも有利な点はあります!
それは漁港の規模・漁船のサイズ、共に間人港よりも大きいということ(^^)v
多少のシケでも出漁できますし、漁獲量も多い=価格も安くなる♪って訳です。

じゃあ、どっちが美味いのか!?

これについては、毎度の事ながら申し上げられません(^_^;)
「津居山かに」と「間人かに」。
どちらも素晴らしい【地ガニ】である事は間違いありませんし、
胸を張ってオススメできる逸品です♪

日本の排他的経済水域に
属する大和碓ですが、
北側の一部は韓国との
共同管理区域になります。
優れた漁場であり、お互い
譲れない部分なんでしょうが
仲良くしましょうね(^_^;)
画像には載ってませんが、
間人と宮津を結ぶ、
「丹後半島縦貫林道」という
怪しげなルートがあって、
かなりの激アツだとか♪
いつか走破してやる(^^)v

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